究極の頭脳戦?ボッチャ

皆さん、パラリンピック見てましたか? 「ボッチャ」見ました?あれあれ!

皆さん、ボッチャって知ってました?

車いすバスケットボールとか、車椅子テニスとか、いわゆる健常者が行う聴き馴染みのあるスポーツの名前がついている競技種目はなんとなく想像つきますが、この「ボッチャ」、初めて名前聞く人はどんな競技かわからないですよね?

坊ちゃん?ぽっちゃ?

ボッチャはオリンピックに似たような競技がなく(後述しますが、強いて言えばカーリングかな)、パラリンピック特有のスポーツです。

だから知っている人少ないんだと思います。最近は結構普及もされてきて、認知度も上がっているみたいです。

実は私も最初は知らなかったのですが、ある時から障がい者スポーツに関わるようになり、そこで出会った競技の一つがこのボッチャなんです。けっこう気軽にできるのでみなさんもどこかで体験していただけばわかると思いますが、楽しいですよ!ルールもわかりやすいですし、ハマります。

でもけっこう難しくて奥深い、そんなボッチャを今日は紹介していきたいと思います。

ボッチャの概要

ボッチャは英語でBocciaと表記します。ラテン語?かイタリア語?でボールという意味だそうです。

脳性麻痺など、四肢・体幹に重度の機能障がいがある人たちが参加できるようにヨーロッパで考案されたスポーツです。

的になる白いボール(ジャックボール)1球と、赤・青それぞれ6球を使い、投げたり転がしたりして赤と青のどちらがジャックボールに多く近づけられるかを競うターゲットスポーツです。

ルールはカーリングに似ていますよね。大きく違うのは、カーリングは氷上に的が描かれているのに対し、ボッチャは的がボールなので、これにボールが当たると動くので、的の位置が移動するという特徴があります。

コートの大きさは奥行き12.5m×幅6mで、おおよそバドミントンコートと同じぐらいです。

その中に、奥行き2.5m×幅1mのスペースが6個横並びになっており、選手はその枠の中から投球をします。

1対1で競う個人戦、2対2で競うペア戦、3対3で競うチーム戦があります。

つまり、赤チームと青チームそれぞれ1人〜3人で対戦する競技です。

6球ずつ投げ終わった時点で相手のカラーボールより自分たちのチームカラーのボールが何球多くジャックボールに近づいているかで点数が決まります(例:赤よりも青が2球ジャックボールに近い場合は、0-2で青の2点ということになります)。

1984年のパラリンピックで公開され、1988年のソウルパラリンピックから正式にメダル競技になったと言われています。

日本は2008年北京パラリンピックの時に初出場し、そこから、ロンドン、リオ、東京と続けて出場しています。

非常に障がいが重い選手が参加する競技で(逆に障がいが軽い人はパラリンピック競技としては参加できない)、様々な工夫がされています。基本的に選手は電動車椅子などを使用している人がほとんどで、競技中は全員車椅子に乗った状態でプレーします。

障がいが重い選手ができるように考案されているため、高齢者や小さな子どもまで、性別や障がいの有無に関係なく誰でも一緒に楽しめるスポーツでもあることから、ユニバーサルなスポーツとしても親しまれています。

ボールがあればできるので(用具は安くはありませんが)、いろんな場面で導入しやすく、最近では地域で障がい者も健常者も一緒になって競技をする大会が開催さえれていたり、企業スポーツとしても取り入れられたり、小学校の人権教育としても授業の中で取り入れられたりもしています。

では、そんなボッチャのルールを紹介していきましょう。

ボッチャのルール

前述したとおり、簡単にいうと、的になる白いボール(ジャックボール)1球と、赤・青それぞれ6球を使い、投げたり転がしたりして赤と青のどちらがジャックボールに多く近づけられるかを競います。

6球ずつ投げ終わった後、相手より近いボールの個数が点数になります。

それを複数回繰り返し合計点数を競います。つまり、最初のエンド(エンドとはそれぞれが全て投げ終わるまでの1セットを指します)で点数を取られても、後のエンドで点数を重ねていけば逆転することもできるということです。

使用するボールは赤・青6球ずつ、白のジャックボール1球です。

ボールは大きさと重さ(あと柔らかさ)が規定されていますが、その条件を満たしているものであればOKで、選手は基本的にマイボールを使っていることがほとんどです。

大きさは周長270±8mm、重さは275±12gの範囲内であればOK。柔らかさについては専用の器具で測定します(硬いのはOKですが柔らかすぎるとNGと言うことです)。

個人戦とペア戦は4エンド、チーム戦は6エンドの合計点で勝敗を競います。

パラリンピックでは、日本代表の杉村選手も「しびれた」とよく言ってましたが、最後まで勝敗がわからない息を飲む試合が多く、見ていてもかなり面白かったですね!

ボッチャボールは白のジャックボール(1球)と赤・青それぞれ6球を使う

ゲームの流れ

まず初めにコイントスで赤か青かを決めます。ちなみにボッチャは赤が先攻です。

選手はスローイングボックスと呼ばれる幅1m×奥yいき2.5mの枠の中から投球をしますので、この中に入ります。

スローイングボックスは選手が投げる方向(コートの方)を見た状態で、左から1番、2番・・・というように6番まであります。

1対1で行う個人戦の場合、赤が3番ボックス、青は4番ボックスに入ります。

2対2のペア戦の場合は2番から5番までのボックスを使い、左から、赤、青と交互に2人ずつ入ります。

3対3のチーム戦では、1番から6番のボックス全てを使い、1番から赤、青と交互に3人ずつ入ります。

まずはジャックボールと呼ばれる白い的球をコート状に投げます。

ジャックボールを投げるのは最初の一人で、エンドごとに順番が回ってきます。

個人戦の場合は奇数エンド(1・3エンド)が赤から始まり、偶数エンド(2・4エンド)は青から始まりますので、同じ選手が2回ジャックボールを投げるチャンスがあります。

他、ペア戦やチーム戦では1番からエンドごとに順番にジャックボールを投げる権利が回ってきます。

ジャックボールを投げたら、続けて同じ人が自分のカラーボールを投げます。1エンド目は赤なので、赤の人(ジャックボールを投げた人)がそのまま続けて投げます。

次は青に交代。審判は表裏にそれぞれ赤と青の色がついた卓球のラケットみたいなもの(パドル)を持っていて、投げる方の色を提示します。

青が投げたら、審判は赤と青、どちらがジャックボールに近いかを確認します。

カーリングの場合、交互に投げていくのですが、ボッチャは「ジャックボールから離れている方」が「相手よりジャックボールに近づくまで」投げます。

これで、各チーム6球ずつ投げ終わったら1エンド終了。

審判は点数を数えます。

相手が投げ切ってしまって、自分のボールがまだ残っている状態であれば、続けてどんどん投げていきます。

審判が点数を数えたら記録し、2エンド目に移ります。

2エンド目は2番目の人(青)がジャックボールを投げるところからスタート。あとは同じように繰り返していき、最終の合計点で勝敗を決めます。

ジャックボールに対し、青よりも赤が3つ近いので、赤に3点

ボッチャの魅力

ボッチャは、非常に障がいが重い選手が参加するスポーツです。本格的な競技としては反対に障がいが軽い選手が出られないということはありますが、そういうこと関係なく、みんなが一緒にできるスポーツだというところが大きな魅力です。

お年寄りもお子さんも、性別、障がいの有無など関係なく、一緒にゲームができるのが大きな魅力だと思います。

まさにオリンピック・パラリンピックの理念である「多様性」を表すような競技です。

相手よりも的球に近づける、という非常にシンプルなルールではありますが、やってみるととても頭を使って戦略を組み立てる奥の深いスポーツです。

自分のチームのボールを当てて動かしてもよし、相手のボールを弾いてしまってもよし、さらには的になるジャックボールに投げたボールを当てて動かしてもOKなので、一発逆転があって、最後までドキドキしながら楽しめるスポーツなのです。

ジャックボールの位置も自分で決めることができます。

遠くに投げてもOKですし、近くに投げてもOK。

自分の得意なところ、相手の苦手なところ、いろんな作戦を立ててゲームを組み立てます。

ボールにも色々あるようで、柔らかさ、素材によっても転がり方やボールの弾きやすさ、止まりやすさなども違うみたいなので、選手が使っている道具を調べてみるのも面白いかもしれません。

あと、ボッチャの最大の特徴は、自分でボールを投げることができない選手も「ランプ」と呼ばれる専用の道具を使って、競技アシスタントと呼ばれる人に指示をしてボールを転がすことで競技に参加できるということです。

例えば、障がいがあるないにかかわらず、小さいお子さんがボールをうまく投げられないときには、こう言った道具を使って投げることもできるので、本当にいろんな人が一緒にできるスポーツだと思います。

このランプを使う一番障がいが重いクラスはBC3というクラスなのですが、先日のパラリンピックでは見事、ペア戦で銀メダルをとっていましたね!感動しました!

まとめ

今回は、パラリンピック競技で、最近注目されている「ボッチャ」について簡単に解説しました。

もちろんスポーツなので、細かいルールは色々あるのですが、誰でも一緒にできるスポーツで、簡単だけど、奥が深い、そんなスポーツです。

Youtubeなどでも競技の紹介動画もいろいろ出ているようですので、ぜひ見てみてください。

参考までに、日本ボッチャ協会公式キャラクター「ボッチャマン」が競技解説してくれている動画のリンクを貼っておきます。

今回のパラリンピックを機に、皆さんも一度ボッチャをやってみてはいかがでしょうか?

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